OIZUMI TOWN HALL

大泉町庁舎

  • 庁舎
  • 公共建築
  • ZEB Ready

群馬県邑楽郡大泉町 / 2026

VISION

シンプルで機能的な構成と、
多様性や変化に対応する柔軟性。

工業都市であり、多文化共生の先進自治体でもある大泉町。その新しい町の拠点として、町民が利用しやすい低層の構成と、時代の変化に応える柔軟な空間を目指しました。周辺の戸建て住宅地に配慮し、南側はひな壇状、北側は縦方向に分節したファサードが、ヒューマンスケールと工業都市らしい佇まいを両立しています。

01 CONTEXT

多様な人とまちを支える、新たな庁舎へ。

大泉町は、群⾺県⾢楽郡にある県内最小の面積約18㎢でありながら人口4万人以上といった高い人口密度を有した町であり、電気メーカーなどの大規模工場がある工業都市となっています。また、冬季には赤城おろしと呼ばれる強い北西風のある地域となります。
昭和49年に建設された旧庁舎は、特徴的な建築ゆえに耐震補強が困難であるほか、防災拠点機能の不足やユニバーサルデザインへの対応などを踏まえて新庁舎建設を行うに至った施設であり、令和4年度の基本計画支援業務から令和8年3月の竣工までプロジェクト全体にわたり関わり続けています。
計画敷地は町民サービスの向上および将来的な町づくりの中心拠点としての活用が見込めるとして新たに総面積約4.3haの用地を取得し、用地の北側に配置された建築面積4751.56㎡(延床面積8560.71㎡)、最高高さ17.11mの地上3階建ての建築であり、駐車台数148台(来庁者用)、規模設定295人の職員数を想定して設計されております。南側では災害対応を視野に入れた芝生広場や公共施設移転用地とし活用される展望のある町の中心拠点として建築された施設です。

02 CONCEPT

シンプルさと柔軟性を、建築へ。

大泉町の地域特性や、新庁舎に求められる役割を踏まえ、「シンプルで機能的な構成」と「多様性や変化に対応する柔軟性」という考え方をもとに、5つの基本理念を具体的な建築として実現するための設計を進めました。
明快なゾーニングによる分かりやすさ、将来の組織改編にも対応できる自由度の高い執務空間、町民のさまざまな活動にも対応する多目的な空間、自然光や自然通風を取り込む環境計画など、5つの理念を空間や仕組みへと展開することで、現在の使いやすさと将来の変化への対応を両立した庁舎を計画しました。

03 SITE PLAN

風土と周辺環境に応える、庁舎の配置。

地域特有の強い北西風「赤城おろし」に配慮し、その影響を抑えるよう東西に長い庁舎を配置するとともに、来庁者入口を建物南側に設けています。あわせて、東側道路からのアクセスを見据え、東側に来庁者駐車場とメインエントランスを配置し、分かりやすくアクセスしやすい動線計画としています。
一方、敷地北側・東側に広がる住宅地に対しては、庁舎との十分な離隔を確保するとともに、北側に平屋の付属棟を配置することで、視線や圧迫感、日影など周辺の住環境への影響を抑えています。
さらに、庁舎の南側には、災害時の利用や将来的な公共施設の再編も見据えた「公共的活用空間」を大きく確保し、将来のまちづくりの中心拠点として発展できる余地を残しています。

04 PLAN

合理的な構成から生まれる、庁舎のかたち。

<町民に開かれた、柔軟な庁舎>
町民利用の中心となる1・2階は、南側から「待合エリア」「執務エリア」「バックヤード」の3つの機能帯を平行に配置し、来庁者と職員の動線を整理した、明快で分かりやすい構成としています。中央の執務エリアは見通しのよい大空間とし、将来の組織改編やレイアウト変更にも柔軟に対応できる計画としています。
また、多目的ホールや3階の会議室・議場などは、夜間や休日には町民が利用できるよう計画しています。町民利用エリアへの動線をまとめ、庁舎内部のセキュリティを確保しながら必要な範囲だけを開放できる構成とすることで、行政施設を地域へひらいています。議場は可動家具を採用し、家具を収納することで平土間の大空間としても利用できます。
さらに、1階の多目的ホールや待合スペースは、テラスや広場、東側のピロティと連続して利用できるよう配置し、イベント時には屋内外が一体となった活動の場として使える計画としています。

<平常時から災害時まで支える空間構成>
日常的に庁舎を利用する職員にとっても、働きやすく居心地のよい環境を目指しています。執務室にはバックヤードを設けるとともに、1・2階の執務空間を直接つなぐ内部階段を設け、部署間の移動や職員同士の日常的な連携を促しています。
一方、2階東側には災害対策を担う部門と災害対策本部を集約し、災害発生時には迅速に防災拠点へ移行できるゾーニングとしています。
断面計画では、南側を段状にセットバックし、北側では建物のボリュームを分節することで、周辺の住宅地とのスケールの調和を図っています。特徴的な外観は造形を先行させたものではなく、それぞれの用途や機能を合理的に配置し、積み重ねることで生まれた構成です。

05 ENVIRONMENT

自然の力を活かす環境計画

建物中央には、全階を貫く4つの「エコシャフト」を設け、自然光や自然通風を建物内部まで取り込むことで、執務空間の快適性を高めるとともに、中間期の空調負荷を低減しています。また、南北面からの採光を基本とし、庇やLow-E複層ガラスによって日射をコントロールするなど、建築そのものによって環境負荷を抑える計画としています。
設備面では、年間を通して水温が安定している井水を、トイレなどの雑用水や空調の予冷・予熱に活用しています。また、コージェネレーションシステムにより、ガスを利用して発電すると同時に、その排熱を空調に活用することで、エネルギーを効率的に利用しています。さらに、非常用発電機と併用することで、停電時にも必要な電力を確保し、災害時における庁舎機能の継続にも配慮しています。
これらに高効率空調機や床吹出し空調、太陽光発電、Low-E複層ガラスや庇による日射制御などを組み合わせることで、一次エネルギー消費量を50%以上削減するZEB Readyを達成しています。

06 STRUCTURE

高品質と柔軟性を両立する構造計画

上部の主要構造には、プレキャストコンクリート(PCa)圧着関節工法を採用しています。工場製作による部材を用いることで、職人不足に対応した現場施工の省力化や工期短縮、高い施工品質の確保を図るとともに、耐震性・耐火性・耐久性に優れた構造としています。さらに、この構造特性を活かして執務空間には12.0mスパンの無柱空間を実現し、窓口から執務室全体への見通しを確保するとともに、将来的な組織変更やレイアウト変更にも柔軟に対応できる、自由度の高い大空間としています。
また、PCa造を基本としながら部分的に鉄骨造を組み合わせることで、構造の合理性を保ちつつ、ひな壇状のセットバックや庇、ピロティなどの軽快な構成を実現し、特徴的な外観へとつなげています

project data

建築概要

建物名 大泉町庁舎
所在地 群馬県邑楽郡大泉町日の出51-1
竣工年 2026年(令和8年)
階数 地上3階
延床面積 8,560.71 ㎡
構造 RC(PCa)造 一部S造
備考 環境性能「ZEB Ready」認証取得
掲載:近代建築 2026年5月号
主要用途
庁舎
建築主
群馬県大泉町
敷地面積
28,028.46 ㎡
建築面積
4,751.56 ㎡
最高高さ
17.11 m
駐車台数
来庁者用 148台
設計・監理
株式会社 桂設計
施工
関東・河本・石川・本田 特定建設工事共同企業体

この建築の全写真・詳細は実績紹介ページでご覧いただけます。

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